国立環境研究所 GOSAT-GWプロジェクト Global Observing SATellite for Greenhouse gases and Water cycle

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校正と検証

校正と検証

「校正」とは、主に輝度、分光、幾何の観点から、レベル1プロダクトの正確さと精度を評価する作業です。打上げ前に、積分球やレーザーなどの実験装置を用いて、輝度、分光の観点からTANSO-3の校正を行います。打上げ後は、衛星に搭載された太陽光拡散板を用いた校正、月校正、代替校正などの複数の手法によりTANSO-3の校正を実施します。その全ての手法は、10年以上にわたりGOSATとGOSAT-2に適用されてきました。

TANSO-3には、太陽光を反射する「太陽光拡散板」と呼ばれる白色の拡散反射板が搭載されます。この拡散板の分光特性の長期的な安定性は別途モニタリングする必要がありますが、太陽光拡散板を用いた校正は非常に頻繁に行うことができます。

月は太陽光拡散板より反射特性が安定しており、長期的な校正光源として利用することができます。月校正時には、TANSO-3を月に指向させるため衛星の軌道などの制御が行われます。月校正観測時の月齢は同じである必要があるため、月校正の頻度は最大で1か月に1回となります。

代替校正では、TANSO-3と地上機器による同時観測が行われます。米国の大きな乾燥湖であるレイルロードバレープラヤ(Railroad Valley Playa)は、GOSATシリーズの代替校正に利用されてきました。これはTANSO-3本体や搭載した拡散板の劣化の影響を受けない独立した校正ですが、天候や季節の条件により、頻度は1年に1回程度に限られています。

「検証」とは、高次プロダクトの物理パラメータの正確さと精度を評価する作業です。例えばCO2では2 ppm(0.5%)などの非常に高い精度が求められるため、CO2とCH4の検証はGOSATシリーズにとって非常に重要です。GOSATシリーズでは、CO2とCH4の検証は地上設置型の高分解能フーリエ変換分光計の観測網である全量炭素カラム観測ネットワーク(Total Carbon Column Observation Network: TCCON)のデータを用いて10年以上行われてきました。GOSAT-GWのCO2とCH4の検証でも、同じ手法とTCCONのデータが利用されます。また他の観測網のデータも利用する予定です。例えば共同炭素カラム観測ネットワーク(COllaborative Carbon Column Observing Network: COCCON)のデータをCO2とCH4の検証に、Pandonia Global NetworkのデータをNO2の検証に利用する予定です。

航空機観測データも、GOSATシリーズでのCO2とCH4の検証に重要です。特に、CONTRAIL (Comprehensive Observation Network for TRace gases by AIrLiner)などの民間航空機観測で取得されたデータは、長期的に全球を網羅しているため、衛星データの検証に適しています。これらのデータはGOSAT-GWの検証でも利用される予定です。

TCCON: https://tccondata.org/
COCCON: https://www.imk-asf.kit.edu/english/COCCON.php
Pandonia Global Network: https://www.pandonia-global-network.org/
CONTRAIL: https://www.cger.nies.go.jp/contrail/

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